みなさんこんにちは。10月は「モーツァルトについて調べよう」がテーマでしたが、動画は見ていただけたでしょうか?とてもかわいいこども時代のモーツァルトがおしゃべりしてくれる動画をつくったのですが、声の出演は荒牧バラ公園教室の生徒さんです。まだ見ていない方はぜひ見てくださいね。
さて、今月は難しいという声がきこえそうですが、音楽史の話をします。
モーツァルトの音楽は明るく楽しいのですが、これはモーツァルトの性格というよりは、時代のせいであるといわれています。音楽というか西洋音楽は、はじめ、神様のためのものでした。それが、少しずつ私たち平民(身分を持たない人)のものになっていきます。
音楽史はおおざっぱに、バロック時代、古典派時代、ロマン派時代、近現代と4期に分けられます。
バロック時代以前(神様のため)➡古典派時代(王侯貴族のため)➡ロマン主義以降(平民のため)と音楽を捧げる対象が変わってきているのです。
6月に勉強したバッハはバロック時代の作曲家で、神様にささげるために作曲しています。神様は全知全能なので、どんなに難しくてもすぐに理解されて、難しければ難しいほど喜ばれる、と信じられていました。ですので、どんどん曲が複雑で難しくなっていきました。
バロック音楽は難しすぎて理解できなくなっていたので、だんだん王侯貴族は明るくて楽しくてわかりやすい音楽をもとめました。そんな時代が、モーツァルトの生きた古典派時代です。モーツァルトは求められる音楽を作曲していたので、王侯貴族の好む明るく楽しくわかりやすい音楽になっています。
そのあとは、文学と結び付け人間の感情を表現しようとしたり、民族音楽をとりいれたり、新しい音楽を作ることを追求していったりという流れになっています。昨年勉強した、シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク、ドビュッシー、ラフマニノフは、全員ロマン主義以降の作曲家です。5月に勉強したベートーヴェンは、初期は古典派その後ロマン主義と音楽史上ではざまの作曲家です。
なぜ、時代を知っておいたほうがよいのかというと、演奏するにあたってのアプローチのヒントになるからです。バッハなら、教会で演奏してほしい音楽なんだろうな~教会の響きや天にとどけたい、という思いを出したいな~となるし、モーツァルトなら、近くにいる貴族たちに明るく楽しいきもちになってもらえるような単純ですっきりした明るい響きで~となるし、シューマンなら、物語を意識したり、となります。
みなさんも想像力をはたらかせて、こんな音楽にしたい!という思いをもって演奏してくださいね。
最後に、モーツァルトの生没年の覚え方は、1765~1791で、7からもどって(765)悔い(91)なし、です。悔いはあると思いますけど語呂合わせで、おぼえてみてください。
今月のクイズ
①今を生きる世代の新しい音楽にするためには?
まず○○を大切にし、次に描かれている△△を読み取ること、最後にまた○○に戻り自分の演奏をする
②モーツァルトは音楽史上、何時代の作曲家でしょうか?
モーツァルトの生没年は?
2人のお姉ちゃん莉菜子ちゃん、日菜子ちゃんもがんばっていますね。6手連弾も楽しみです。
杏花ちゃん(小1)
10月の台風怖かったですね、皆さんのところは大丈夫でしたか?
私はオペラ(約5時間あります)に始まり、Vnやピアノコンサート、管楽器アンサンブルなどの音楽会を楽しんできました。中でもイーヴォ・ポゴレリッチ(クロアチア)のピアノは今までの固定概念をひっくり返させられるような刺激的なもので、演奏は何をもっていいと感じるのか?作曲家、楽譜にどこまで忠実であるべきか?どこまでなら許せるのか?個性的とは?音楽の形とは?いろいろなことを考えさせられる演奏会でした。彼が個性的であるという多くの逸話があるのですが中でも20代の頃(今は59歳)ショパンコンクールの第3次での予選落ちとなり、その時の審査員である世界的な女性ピアニストのアルゲリッチが「彼は天才よ!それが分からないならやめるわ!」と審査員をその場で辞退することで一躍有名になったのです。また20歳以上も離れた自分の先生と結婚したことでも有名です。彼は確かに天才なのです。
関西来日は10年位前を最後に現在は東京だけです。今までにも何回かは聴いていたので型破りで、普通の演奏ではないことも分かっていたのです。批評家もどう評価すればいいのか・・・という感じで書かれていたこともありましたが、色々な時期を乗り越え復調あり、ということが分かったので聴きたい!と東京まで聴きに行って来ました。ホールに入ったらこんなこと初めてです、トレーナーで、毛糸の帽子をかぶり、横に水をおきBGMのような静かな曲を演奏時間10分前位まで弾いている本人がいるのです。みなびっくり、でも皆さんこの人なら何でもありなのだと、思い聴いておられるようでした。
とにかく今までの常識(テンポに始まりフレージング、スタッカートの種類、ディナーミク、アゴーギクなど)はあてはまりません、皆さんが弾くソナチネから始まりリスト、ベートーヴェン、ラヴェルなのですが、これってあり?この曲ってこんな表情あり?と思わせるのです、ほかのピアニストとは違っていることを強引に肯定しているようにも聴こえるのです。またすごい大音量のフォルテから魅力的なピアニッシモまで明快で、何か今までになかった新しい感じ、それでいてロマンティック、豊かな内容と霊感に満ち溢れているのです。やはりこの人は何もかも規格外!スケールがちがう!どんどんはまってきました、これは私だけではなさそうです。周りも同じ感じのようです。これもありでいいのだと、ひょっとして聴く側の能力も試されてるかも?と思いながらも最後には不思議な感覚で満たされたのでした。上手なピアニストはたくさんおられますが、枠の中には納まらない宇宙的な凄さ、上手さ、深さを備え持つ稀有なそして好き嫌いがはっきり分かれるピアニストの一人だと思います。最後はスタンディングオベーション、大拍手です。その中、お誕生日ということで大きなケーキのサプライズが用意されており会場全員でハッピーバースデイを歌い、彼も満面の笑みで終わりました。本当に演奏とは・・・色々考えさせられる演奏会でしたが、自分の表現をとことん追求し、聴き手である私達を説得し、感動させてくれ、演奏とはこれでいいのだ!と思わせてくれるコンサートでした。
今回は文章にするだけでは伝わりにくく、また少し難しかったかもしれませんね。
結局演奏とは
まず直観を大切にし、次に描かれている音楽を読み取ること、最後にまた直観に戻り自分の演奏をすることが一番です、今を生きる世代の新しい演奏になるはずです。
発表会、伝えたいことを自分の音でしっかり表現できるようになってくださいね。
長くなりましたが聞いていただきありがとうございました。
私事ですが・・・
10年ほど前ですが大阪公演後だったと思います。香港(ホンコン)の中華レストランで横のテーブルにいるのを見つけ、あなたのファンですと、握手をしてもらったことがあります。すごーく大きな柔らかい手だったことを今でも覚えています。
当日のプログラムより イーヴォ・ポゴレリッチ